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第2章 アイユーブ警察学校 3

3.再会

 「さて、と。」

 口火を切ったのは、加賀篤史警視正だ。あとから聞いたところでは、警察庁長官に最も近い人物との噂もあるようだ。
 高等警察官資格試験は、筆記試験と面接で合否が決められる。幼き頃より将来の君主となるべく育てられてきた彼女には、法令関係の試験は容易かったが、問題は如何にして面接を突破するかであった。
 面接官は5人いて、うち一人は女性だった。

 「筆記試験は満点ですが、あなたはなぜライランカからわざわざいらしたのですかな。」
 「はい。今回は皇帝陛下が新しく警察学校をお作りになると伺い、一人の法律家として、どれだけ司法に貢献できるかを実践したいと思いました。」
 「そのお話は、我々も聞き及んでおります。ですが、警察官と法律家とは、少し異質な性格を持つ職業だとはお思いになりませんか。」
 「いいえ、警察は市民も犯罪者も、そしてもちろん自分の命も守らなければ、使命を果たしたことにはなりません。法律家もまた、一人でも多くの命を救うために法律を作り、常に走査し続けるのです。また、現場を知らずして机上でのみ法令を作ったり論じたりするのは、無意味ですわ。今回の警察学校は、すべての点において最高を目指されるとか。このような貴重な機会に私もぜひ参加させていただきたいのです。」
 「なるほど、よくわかりました。それでは後ほどまたお呼びします。」

 2時間後、唯一の女性面接官に促されて更衣室に入ると、面接官と同じ制服を渡された。
 「これは・・・。」
 「そう、あなたは合格したの。今日から私たちは仲間。私は大谷好子、よろしくね。」
好子は小さくウィンクしてみせた。
 「ありがとうございます。ソフィア・トートです。よろしくお願いいたします。」

 程なくして、先ほどの面接官たちと皇太子の立ち会いで、簡単な任命式が執り行われた。

 その夜、皇帝の謁見室に喚ばれた。それまでの打ち合わせの場とは明らかに異なるし、公式な謁見にしては夜という時間帯は不自然である。

 「合格おめでとう。」紫政帝はにこやかに迎え入れた。
 「ありがとうございます。」ソフィアが応える。
 「実は会わせたい者がおって、来てもらいましたのじゃ。・・・おはいり。」
 「はっ、失礼つかまつります。」
 「あなたは・・・。」彼女は息を呑んだ。声の主は、加賀警視正だった。

 「キリル姫さまには、実に聡明でお美しくご成長あそばされましたね。」
 彼はひざまずいた。その目は彼女が昼間見ていた目とは違う。懐かしい者をみつめるような優しい眼差しだった。
 「あなたは私のことをご存じなのですか。」
 「もう15年ほど前になりましょうか、お目にかかったことがございます。ヴィクトル・ルマールの子・ライブラとして。」

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