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もみの木ブログ

「まるまど文学館」広報誌 http://marumado.syarasoujyu.com 投稿されたコメントは、管理人が承諾するまで表示されません。しばらくお待ち下さい。 A contributed comment don't appear until a manager consents. Please wait a moment.

父が亡くなりました

今朝、入院中だった父が死亡したとの連絡が入りました。
以前から覚悟はしておりましたが、いざその日が来てみますと・・・。

享年83歳。慢性心不全でした。

父親(私からみれば祖父)とは幼い頃に死別、満州から引き上げてきて、高度経済成長期を駆け抜けた人でした。。。。。

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第2章 アイユーブ警察学校 4

4.スカウト

 「実は、校長をこの篤史にやってもらおうかと考えておりますのじゃ。いかがですかな、姫。」
 「え・・・。あ、はい、私はかまいませぬが。しかし、お国の大切な方を・・・。」

 ライランカでは、マテルと名を変えたカーサルが環境局長官となって環境をよく整え、皇帝の参謀と呼ばれている。篤史ことライブラもおそらくオルニアにおいて欠くことのできない存在になっているに違いない。
 紫政帝が言葉を続けた。

 「姫、アイユーブ警察学校は、殉職する警官をなくしたいという私自身の願いでもありますし、惑星全体の利益にも適います。そして、この国でそれを任せられるのは篤史しかいないのです。」

 紫政帝も、篤史も、ソフィアに力強く頷いた。思いはひとつなのだ。

 紫政帝はすでに幾人かの教官役を揃えてくれていた。
 国立科学研究所に勤務している、科学技術立国・アルリニア出身の周公沢、言語学者・小久保美穂、忍びの里から来て宮廷に仕えている春野亜矢、そして剣術の家元の家系に生まれたセルジオ・カルルと滝田光昭という顔ぶれだ。
 公沢は科学捜査の講義を、美穂は人とのコミュニケーションの講義を、その他3人は武術系であり、それにソフィアの法律学と篤史の環境設計学が加わる。

 次の日から、ソフィアと篤史は手分けして私服で街中に出て、研修生候補を探した。

 「うわーんっ。」

 街角で小さな子が泣いている。

 「もうっ、どうして泣くのよ!おかあさん、もう知らないわよ!いっつもこうなんだから!」

 母親らしい女性は、ガミガミ言うばかりで、それがもう数分も続いている。
 ソフィアが見かねて一歩踏み出そうとしたとき、それより早く行動を起こした人物がいた。その人影は、ゆっくり女の子に近づいて、目の高さを合わせるようにかがみ込んだ。

 「まあまあ、おかあさん。そんなに大きな声ばかりでは、お嬢さんが怖がるばかりですよ。だから泣くんです。・・・お嬢ちゃん、君のママはお嬢ちゃんが嫌いで怒ってるんじゃないんだ。安心して良いんだよ。」

 それから、その青年は母親にそっと言った。

 「お嬢さんをただ抱きしめてあげてください。」

 母親が抱きしめると、泣いていた女の子の声が「ひっくひっく」に変わり、やがて静かになった。小さな温もり・・・母親もいつしか泣いていた。

 「ごめんね・・・ごめんね。・・・」

 青年は静かにその場を離れて、広場の片隅に腰掛けた。周囲には絵筆や絵の具やパレット、近くのイーゼルには白い紙が置いてある。

 「あなた、絵描きさん?」ソフィアが青年に声をかけた。
 「はい、そうですが。」
 「じゃあ、よかったら私も描いていただけるかしら?」
 「もちろんですとも。」

 「失礼ですが、ライランカの方ですか?」彼は鉛筆で輪郭線を描きながら尋ねた。
 「えぇ、ここへは仕事で来ているの。実は、今日これから髪を切りに行くんです。だから記念にと思って。」
 「ライランカの方の髪の色、好きなんですが難しいんですよね。」
 「ありがとうございます。そう、この色がねぇ。」
 確かに以前からライランカ人の髪の色を普通の絵の具で再現するは難しい・・・とは聞いていた。
 「そういえば、そういうことも聞いていますね。ところで、あなたは学生さん?」
 「いえ、もう卒業しました。でも、食べていけなくて。こんなところでアルバイトですよ。」

 似顔絵が仕上がった。
 「素敵ね。こんなに美人に描いてくれて、どうもありがとう。」
 ソフィアは彼に1,000リンクを渡した。
 「こちらこそ、どうもありがとうございます。」

 「ねぇ、良かったらなんだけど・・・警察官になってみない?」
 「え、え、なんですか、藪から棒に・・・。」
 「実はね、いま警察学校の生徒を集めてるの。さっき女の子とお母さんを助けたでしょ。貴方には警官の素質があるなって思ったわけ。学校は厳しいけど、お給料も出るし、非番の日もあるから、絵も描いていけると思うのだけれど、どうかしら?私はソフィア・トート。副校長なの。」
 「それじゃ、婦警さんなんですか!こりゃぁ驚いた!それに、あれ見られてたなんて。」
 彼は顔を真っ赤にした。
 「もちろん今すぐにとは言いません。気が向いたら、7日の月曜日、午前10時にアイユーブ警察学校の前まで来てください。ところで、あなたお名前は?」
 「僕、藤原景時といいます。」
 「とても良いお名前ね。それじゃ、待っています。」

 ソフィアが去ってしばらくすると、さっきの親子がやって来た。

 「先ほどはどうもありがとうございました。私、いつの間にか自分の忙しいことをこの子に押しつけていたような気がします。抱きしめてわかりました。」
 「そうですか・・・。あ、少し待っていて下さいね。・・・さぁ、できた。」

 景時は簡単な花の絵を描いて女の子に手渡した。

 「ありがとう。」女の子は嬉しそうに受け取って、母親に見せた。もう大丈夫そうだ。
 「あ、お代を・・・。」
 「いいえ、これはお嬢さんへのプレゼントです。さっき、多めに払ってくれたお客さんがいましてね。僕としてはこれで埋め合わせになるんですよ。」
 「そうですか・・・。では、お気持ちをありがたく頂戴します。その代わりになるかどうかわかりませんが、これはうちで焼いたパンです。ぜひ召し上がってください。」
 「ありがとうございます。では、これはいただきますね。」
 彼は小さな紙包みを受け取って、中を覗いた。
 「やぁ、こりゃあ美味しそうだ。どうもありがとうございます。」
 「本当にありがとうございました。」母親は頭を下げて帰って行った。

 「バイバ~イ!」

 少し遠くから女の子が手を振った。


第2章 アイユーブ警察学校 3

3.再会

 「さて、と。」

 口火を切ったのは、加賀篤史警視正だ。あとから聞いたところでは、警察庁長官に最も近い人物との噂もあるようだ。
 高等警察官資格試験は、筆記試験と面接で合否が決められる。幼き頃より将来の君主となるべく育てられてきた彼女には、法令関係の試験は容易かったが、問題は如何にして面接を突破するかであった。
 面接官は5人いて、うち一人は女性だった。

 「筆記試験は満点ですが、あなたはなぜライランカからわざわざいらしたのですかな。」
 「はい。今回は皇帝陛下が新しく警察学校をお作りになると伺い、一人の法律家として、どれだけ司法に貢献できるかを実践したいと思いました。」
 「そのお話は、我々も聞き及んでおります。ですが、警察官と法律家とは、少し異質な性格を持つ職業だとはお思いになりませんか。」
 「いいえ、警察は市民も犯罪者も、そしてもちろん自分の命も守らなければ、使命を果たしたことにはなりません。法律家もまた、一人でも多くの命を救うために法律を作り、常に走査し続けるのです。また、現場を知らずして机上でのみ法令を作ったり論じたりするのは、無意味ですわ。今回の警察学校は、すべての点において最高を目指されるとか。このような貴重な機会に私もぜひ参加させていただきたいのです。」
 「なるほど、よくわかりました。それでは後ほどまたお呼びします。」

 2時間後、唯一の女性面接官に促されて更衣室に入ると、面接官と同じ制服を渡された。
 「これは・・・。」
 「そう、あなたは合格したの。今日から私たちは仲間。私は大谷好子、よろしくね。」
好子は小さくウィンクしてみせた。
 「ありがとうございます。ソフィア・トートです。よろしくお願いいたします。」

 程なくして、先ほどの面接官たちと皇太子の立ち会いで、簡単な任命式が執り行われた。

 その夜、皇帝の謁見室に喚ばれた。それまでの打ち合わせの場とは明らかに異なるし、公式な謁見にしては夜という時間帯は不自然である。

 「合格おめでとう。」紫政帝はにこやかに迎え入れた。
 「ありがとうございます。」ソフィアが応える。
 「実は会わせたい者がおって、来てもらいましたのじゃ。・・・おはいり。」
 「はっ、失礼つかまつります。」
 「あなたは・・・。」彼女は息を呑んだ。声の主は、加賀警視正だった。

 「キリル姫さまには、実に聡明でお美しくご成長あそばされましたね。」
 彼はひざまずいた。その目は彼女が昼間見ていた目とは違う。懐かしい者をみつめるような優しい眼差しだった。
 「あなたは私のことをご存じなのですか。」
 「もう15年ほど前になりましょうか、お目にかかったことがございます。ヴィクトル・ルマールの子・ライブラとして。」

第2章 アイユーブ警察学校 1-2

第2章 アイユーブ警察学校

1.ドクター・ルマール

 「私は美しい世界を創りたい。それが私の使命であり、正義に適うものならば。」

 世界的に著名な環境設計家ドクター・ルマールは、常々7人の子供たちにこう言っていた。
 いずれも彼とその妻の実子ではない。夫婦が7大陸それぞれの孤児院から養育を託された子供たちだ。

   穀倉地帯・オルニアの    ライブラ
   森と湖の国・ライランカの  カーサル
   海洋貿易国・カレナルドの  サラサ 
   音楽の国・カルタナの    スイレン
   砂漠のオアシス・マクタバの ホルス
   科学技術立国・アルリニアの ルトフ
   不可思議の国・ウユニの   ムーム

 妻のマルカは包容力のある肝っ玉母さん。毎年一人ずつ増えてきた子供たちに、忙しく働く大きな背中を見せながらも笑顔を絶やさない愛情細やかな女性だった。子供の誰かが高熱を出していると、一晩中つきっきりで看病もした。
 彼らは実の家族のように育ち、18年の間に高い教養と武術を身につけた。そして、やがて各々の母国に散り、20年の歳月が流れた・・・。

2.出迎え

 オルニア王国は紫政帝の時代。この皇帝は国をよく富ませ、人望も厚かった。
 あるとき、彼は隣国ライランカのキリル姫から一つの依頼を受けた。警察学校を創設してその中で後継者を育成したいという内容だ。
 ライランカのアルティオ帝のひとり娘・32歳のキリル姫は、今年に入って不治の病とされるグナンリラ病で余命5年と宣告を受けていた。自ら子を産み、育てられる時間はもうない。ならば、若者たちを育成して後を継がせるしかない、と考えたのである。父帝も、限りある命となった娘との時間を惜しんでいたが、公のためにはやむを得まいと了承してくれた。

 そういうわけで7月の今日、紫政帝とその皇太子の田所風馬は、港までキリル姫を出迎えに来ていた。
 船から下りてきたキリル姫は、ライランカ人独特の藍色の髪をゆるやかに束ね、左手にキャンバス地のトランクを下げている。

 「キリル姫、ようおいでになった。」
 「紫政帝陛下、風馬殿下、お久しぶりでございます。ご健勝で何よりと存じます。されど、ここでは”キリル”の名は・・・。」
 「おぉ、そうであったの。すまぬすまぬ。さて、なんと呼ぼうかのぅ。まずしばらくはゲストルームへお泊まりくだされ。その間にゆるりと事を進めればよい。」
 「どうもありがとうございます。このたびのご厚意には感謝してもしきれませぬ。」

 3人は地味な馬車で王宮に入った。といっても、馬車は、この惑星では特別な乗り物ではなく、人力車と同じくらい市民の移動手段として広く普及している乗り物である。機械仕掛けの車は工業地帯で走っている電気自動車や穀倉地帯のトラクター、貨物船と旅客船、それにいわゆる緊急車両だけだ。

 翌日から、キリルと紫政帝は夕食を共にしながら今後について話すようになった。
 まずキリルはオルニアにいる間、ソフィアという名を名乗ること。オルニアには移民戸籍制度が設けられていて、犯罪に利用されないと認められれば、新たに戸籍を作ることが出来る。これは、民族的迫害を逃れて他国に逃げてきた人々の救済を目的に、かのルシャナが考案したものの一つであり、世界有数のオルニア穀倉地帯は、それを実現できる余裕を有している。
 それに基づき、ソフィアは警察庁において近く行われる高等警察官資格試験を受け、警視の資格を取る。もちろん、これはソフィアの身分は隠されて厳正な審査が行われる。
 そののち、ソフィアと紫政帝は、教官兼研修生を幅広くスカウトしてきて警察学校を開設する・・・という流れだ。なお、この計画は、既存の警察学校の養成カリキュラムを1学年のみ変える形で行われる。

 高等警察官資格試験の前夜、模擬試験の復習をしていたソフィアは、ふと窓から空を見上げた。満天の星が輝いていた。

[創作コラム-1]

ここで、少し率直なお話をしようと思います。

 物語の舞台を遠い架空の惑星にしました。
 「皆さん、いっそのこと13世紀あたりから地球の歴史やり直しませんか?」という意図です。放射能も化学兵器もない、民族間の争いもなく、ひとつの理想のもとに共存共栄していく理想郷を作りたかったのです。

 プレアデスは勿論あの”スバル”ですが、サルナートはお釈迦様が最初に説法をされた土地。(ある地方都市に住んでいたときに時々行っていたインド料理屋さんの店名も「サルナート」でした。)
 ルシャナは東大寺の大仏様が”盧舎那仏”であることから。Wikipediaによれば、盧舎那仏は”史実の人物としてのゴータマ・シッダールタを超えた宇宙仏(法身仏)。宇宙の真理を全ての人に照らし、悟りに導く仏。”とあり・・・。お~!なんかピッタリじゃ~んっ!!!
 仏様は慈悲深いので、こんな凡人の小説に出しても、きっと赦して下さるに違いない、と思いました。

 でも、舞台を別世界に設定したことで地球のことが書けなくなりました。
 ”宇宙感覚”は宮沢賢治から見いだしたものだし、道元禅師や”アドラー心理学”の影響も受けて、私の中に出てきたものなんですが、そういう経緯は持ち込めません。それが残念です。
  

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